グルージャ盛岡 2018シーズンプレビュー
今週末より2018シーズンのJ3リーグが開催されます。
今季も昨季同様、グルージャの試合のプレビュー・レビューは可能な限り続けたいと思っています。今回は開幕戦のマッチプレビューの前に、諸々の復習・予習をしつつグルージャのシーズンプレビューを行います。
2017シーズン総括
グルージャ盛岡は、リーグ成績7勝8分17敗、勝ち点:29の15位(17チーム中)で2017シーズンを終えました。
2017シーズン開幕前、クラブは2016シーズンにおける攻撃力を維持した上で守備力の強化を計ることを宣言していました。しかしシーズンを終えてみれば1試合平均の得点は激減した(1.43→1.00)にも関わらず、1試合平均の失点は殆ど変わっておらず(1.57→1.53)、下位に沈んだ成績も納得のスタッツ。
また夏場にはリーグワーストタイとなる7連敗という不名誉な記録もマークし、『弱いグルージャ』のパブリックイメージを更に強化してしまいました。
J3昇格以降の4シーズンで比較すると、2017シーズンは1試合平均の勝ち点では最低の数字(0.91)となっており、過去4シーズンで最低の成績だったと言っても良いかと思います。
試合内容も2016シーズンに比べると、相手のゴールに迫るシーンが減り魅力が乏しいものになった印象は否めません。
昨シーズンは2016シーズンの積み上げの上でのシーズンでしたが、はっきり申し上げますが、2017シーズンにおける積み上げはなかったと思います。積み上げの難しさ、醸成する難しさを私を含めて現場スタッフが痛感しました。なのでまた一からスタートするという覚悟は選手だけでなく我々スタッフも相当なものをもって臨みますし、他のクラブも私たち以上に補強していると思いますので、そういったクラブと相対した時にその想いや覚悟を持って挑みます。
(2018年1月19日 新加入選手記者会見での取締役強化部長:中村学氏のコメントより)
リーグ下位の成績だったことよりも、トップチームにおいては『2017シーズンにおける積み上げはなかった。』という事実が何より残念でした。
2017シーズンはクラブの経営危機を乗り越え、J3ライセンス剥奪は何とか回避した再出発のシーズンでしたが、トップチームが前に進めなかったことは、サポーターにとって苦い記憶となったシーズンでもありました。
2018シーズン目標
チームとしては昨年度を上回る成績、29しか取れなかった勝ち点を最低でも40を目指しさらなる上積みを目標に戦っていきたいと思います。
(2018年1月19日 新加入選手記者会見での菊池利三監督のコメントより)
『勝ち点40』は昨季の順位表と照らし合わせると、17チーム中12位に相当する勝ち点。菊池監督は目標順位をはっきり口にしていませんが、9~12位程度を想定していると思われます。J3の17チームを強さのレベルでA、B、C、Dの4つのクラスに分けると、最低でもCクラス、あわよくばBクラスを狙える場所まで行こうということでしょう。 現在の戦力から考えると妥当な目標だと思います。
2018シーズンチーム戦術
今季は人とボールが動くサッカー、特に運動量に関してはどこよりも走ることを徹底します。そしてとにかく相手ゴール前のシーンを増やしてサポーターの皆さんに楽しんでもらえる試合を目指します。
(スタンダード3・4月号 菊池利三監督インタビューより)
中村強化部長、菊池監督、高崎コーチのスタッフ全てが留任したので、今季もショートパスで後ろから繋ぐ基本的な戦い方に変化は無いと予想しています。クラブスローガンの『繋』もその辺りをかけているのでしょう。
雑誌スタンダードのインタビューで、菊池監督は昨季の反省点・今後の課題として「個人戦術」をあげていました。詳細はスタンダードを読んで頂きたいのですが、「選手ひとりひとりがもっと考え状況に応じた最適解を掴んでいかなければ、どんなチーム戦術を用いようとチームとしての進歩はままならない」という菊池監督の想いが感じられました。
個人戦術然り、運動量然り、菊池監督はオーソドックスな手法でグルージャの力を引き上げ、正面突破を計るようです。
しかし『人とボールが動くサッカー』ってフレーズ、某J1クラブの監督をクビになった方が口にしていたものなので私はどうも乗れません…。ほかに適当なフレーズはないのでしょうか。
2018シーズンチーム編成
2018シーズンは、2017シーズンのメンバーから12名の選手が退団し、13名の選手が新加入。トップチームは合計27名の体制になりました。
最も大きな変化は、チームの要だった谷口堅三選手が藤枝MYFCに完全移籍したことでしょう。昨季7ゴール、5アシストの個人成績、前線でボールを収められることに加え、チームの精神的支柱でもあった谷口堅三選手の退団の影響は計り知れません。
谷口堅三選手以外にも昨季の主力であった林選手が引退、垣根選手、岩渕選手が完全移籍、差波選手がレンタル終了と、チームは大きな変化を強いられました。
新加入した13名の選手のうち10名は23歳以下の選手。チームの平均年齢も1歳以上若返りました。
またレンタル(期限付き移籍)選手が多い(5名=藤沼選手、山田選手、江頭選手、宮市選手、呂選手)ことも今季グルージャの特徴。この辺は財政的な事情があるのでしょう。
ざっくり強化ポイントと新加入選手を紐付けると
- 最終ラインの強さ・高さ→稲森選手、太田選手
- 得点力→高柳選手、宮市選手、谷口海斗選手、藤沼選手
- 攻撃的CH→江頭選手、山田選手
- 守備的CH→河津選手
- 守備的ユーティリティ→田中舜選手、呂選手
- サイド要員→白石選手
- 攻撃の起点(SB、CH)→嫁阪選手
といった感じでしょうか。
谷口堅三選手など契約更新を打診していた主力選手が他クラブに引き抜かれてしまいましたが、Jリーグ54クラブの中で予算の乏しさでは1、2位を争うグルージャにしては、今季の補強はかなり頑張ったとは思います。
しかし公式戦出場機会がまだ少ない若手選手の複数名が「大化け」してくれるようでないと、厳しいシーズンになりそうな印象を私は持っています。
今季グルージャへ望むこと
私がグルージャに望むことを纏めると、「『地元から愛されるクラブ』への歩みを少しでも前に進めること」になります。
それはトップチームの戦いぶりに留まらない多岐に渡る話なのですが、その歩みの中で1試合でも多くグルージャの勝利を見られれば良いかな、と。
勝利は貪欲に求めながらも、勝敗に拘りすぎて窮屈にならないようフットボールのある生活を楽しみながら、今季もグルージャを応援していきたいと思います。