マッチレビュー J3リーグ第1節 カマタマーレ讃岐 vs グルージャ盛岡
2019シーズンJ3リーグ第1節、カマタマーレ讃岐vsいわてグルージャ盛岡戦は、新名称「いわてグルージャ盛岡」としての初公式戦でしたが、残念ながらグルージャはスコア0-1で敗れ、その船出を飾ることは出来ませんでした。
公式結果
フォーメーション
カマタマーレは福家選手が1トップ、ロアッソ熊本から移籍してきた池谷選手がトップ下に入った4-2-3-1。
グルージャはJリーグ初出場となる菊池選手が1トップの3-4-2-1。先発11人中8人が今オフの移籍選手。
試合内容
キックオフ時には雨は止んでいますが、少し強い風が吹いています。ピッチに水玉溜まりは無さそうですがスリッピ―な状況。
2分、ロングボールを使って押し込んだこぼれ球を拾った展開で、左ハーフスペースの麻田選手が裏狙いのスルーパス。西選手が反応しましたが触る前にGK土井選手がキャッチ。
6分、麦倉選手の右サイドからのCKはニアでクリアされました。
6分、スローインのボールをペナで収めた菊池選手がシュートを打ちましたが、相手DFがブロック。こぼれを佐々木選手がグルージャ陣内の裏狙いのロングキック。福家選手に繋がればビッグチャンスでしたが、GK土井選手がペナを大きく飛び出してクリア。
8分、左サイドの麦倉選手からのクロスはグルージャの選手には合わず、麻田選手がクリア。こぼれを拾った展開からペナ内で菊池選手が収めてシュートを放つも竹内選手がブロック。
9分、右サイドの廣田選手のクロスを市村選手がクリアしましたが、こぼれを麦倉選手がミドルシュート。しかし永田選手がクリア。
10分、左サイドの麦倉選手からのクロスにファーで菊池選手が頭を合わせましたが、山なりのボールになりGK清水選手がキャッチ。
11分、佐々木選手が強烈なミドルシュートを放ちましたが土井選手が一旦弾いてキャッチ。
17分、自陣右サイドから廣田選手が裏へのボール。谷口選手が右サイド奥で収めてドリブルからクロス。ニアに飛び込んだ薮内選手が右足ヒール!を合わせましたが、GK清水選手がスーパーセーブ。
18分、麦倉選手の右サイドからのCKはペナ中央でカマタマーレ選手がクリア。
21分、グルージャ陣内中央で池谷選手が左サイドの福家選手にパス。福家選手のグラウンダークロスを森川選手が中央で潰れながら落とし、池谷選手が触れれば決定機、でしたが麦倉選手がクリアし、そのボールを森川選手が手で触ってファウル。
23分、右サイド奥からのFKは麦倉選手が蹴り、ペナ内中央で深井選手が頭を合わせましたが、ボールはクロスバーの上を通過。
25分、市村選手の左サイドからCKはサインプレー。一番後ろから佐々木選手が上がって右足を合わせましたが枠を捉えず。
27分、タッチライン際のロングボールの奪い合いを制した福家選手がハーフウェイライン近くからロングシュート。ボールは風に乗り、前目にポジションを取っていたGK土井選手の頭上を越えゴールに吸い込まれました。これはシュートを打った福家選手を褒めるべきで、土井選手のミスとまでは言えないでしょう。カマタマーレ先制。0-1。
28分、左サイドの麦倉選手からの縦パスを収めた菊池選手がミドルシュートするも清水選手がキャッチ。
30分、左ハーフスペースをドリブルで上がった谷口選手がミドルシュートするも、西野選手がブロック。
31分、左サイド浅い位置から打った木下選手のクロスは、ファーの谷口選手には通らず清水選手が直接キャッチ。
33分、中央の永田選手のスルーパスに反応した西選手が右サイドでクロス。深井選手がブロックしますが、こぼれを再び拾った西選手がペナ内に侵入してシュート。ニア枠内へのシュートでしたが土井選手がナイスセーブ。
34分、右サイドからの市村選手のCKのこぼれをペナ内で麻田選手がシュートしますが、グルージャの選手に当たり枠外へ。
35分、左サイドからの市村選手のCKは、直接、土井選手が右手でクリア。
38分、佐々木選手からのパスをペナ外中央で受けた西選手がシュート。しかし福田選手がブロック。
38分、右サイドからの市村選手のCKに、ファーで西野選手が頭を合わせましたが土井選手がキャッチ。
40分、左サイドでの細かいパスから森川選手がシュートしましたが枠を捉えず。
44分、左サイドからの市村選手のCKは木下選手がクリア。
前半終了。福家選手のスーパーゴールで先制は許したものの、早い切り替えで手堅く抑えていたグルージャ。まだ勝負は分りません。
雨と風が強くなりながら後半開始。グルージャの選手交代。石井選手に代わり嫁阪選手投入。嫁阪選手がそのままボランチへ。
47分、右サイドの竹内選手のクロスは味方選手には合わず、ファーに流れました。
49分、相手陣内でボールを奪い裏に抜けた池谷選手がペナ内右からシュート。しかし枠を捉えず。
52分、左サイドからの麦倉選手のCKはカマタマーレの選手がクリア。
55分、左サイドの森川選手からのパスを受けた市村選手がミドルシュート。しかし土井選手が横っ飛びのナイスセーブ。
56分、左サイドからの市村選手のCKは中央で木下選手がクリア。
57分、右サイドからの市村選手のCKはニアで木下選手がクリア。
57分、右サイドの市村選手のクロスに中央で永田選手が頭を合わせましたが、ボールはゴール右に逸れました。
59分、左サイド奥から森川選手がクロス。こぼれを池谷選手が押し込もうとしますが、土井選手が見事なブロック。
60分、左サイドの麦倉選手のクロスのこぼれを谷口選手が収めかけますがシュートは打てず。後ろに戻して廣田選手がシュートしますが西野選手がブロック。
63分、カマタマーレ陣内からの麦倉選手のFKをファーで菊池選手がヘディングシュート。ボールは対角線上の枠内に飛びましたが、清水選手がビッグセーブ。
65分、池谷選手が左ハーフスペース裏を抜けクロスを上げましたが、福家選手には合わず。
65分、左サイドからの市村選手のCKはニアで菊池選手がクリア。
66分、グルージャの選手交代。薮内選手に代えて梅内選手投入。梅内選手がおのままシャドウへ。
68分、カマタマーレの選手交代。福家選手に代わり中村選手投入。
68分、グルージャ陣内左サイドからの市村選手のFKはクロスバーに当たって跳ね返りました。
74分、グルージャの選手交代。谷口選手に代えて平川選手投入。平川選手がそのままシャドウへ。平川選手はこの試合がJリーグデビュー戦。
76分、カマタマーレの選手交代。池谷選手に代わり重松選手投入。重松選手が左SH、中村選手がトップ下、森川選手が右SH、西選手がCFに。
79分、森川選手から西選手への縦パスが入りGKとの1対1になりかけましたが、福田選手と廣田選手が追い付いてクリア。こぼれを拾った麻田選手がシュートしますが、廣田選手がブロック。
80分、左サイドからの重松選手のCKはニアで平川選手がクリア。
82分、土井選手のゴールキックのこぼれを拾った平川選手がペナ内でシュートに持ち込みかけますが、相手DFの寄せにあい打てず。こぼれを拾った流れで左サイドの麦倉選手がクロス性のシュートを打ちますがGK清水選手がキャッチ。
83分、カマタマーレの選手交代。西選手に代えて木島良選手投入。木島選手がそのままCFへ。
88分、廣田選手の右サイドからのクロスは竹内選手がクリアし味方選手には合わず。
88分、左サイドからの麦倉選手のCKはカマタマーレ選手がクリア。
89分、スローインを梅内選手が収めて麦倉選手がクロス。ペナ内中央で木下選手が頭を合わせましたが、ボールはゴールの右に逸れました。
90+2分、右サイドの木下選手からのクロスに、ファーで平川選手が頭を合わせ、決まったかに見えたのですが、ボールは僅かにゴールの右に逸れました。
90+3分、右サイドからの麦倉選手のCKは相手選手に当たってラインを割りました。
90+3分、左サイドからの廣田選手のCKはニアで森川選手が一旦クリアするも、再び廣田選手がペナ内にボールを入れると、密集からこぼれたボールがゴールに入りかけましたが、西野選手がクリア。
90+3分、右サイドからの麦倉選手のCKは清水選手がパンチでクリア。
試合終了。0-1でグルージャ敗戦。
選手の評価
MOMは決勝ゴールを上げた福家選手。ゴールはスペシャルなものでしたが、あの得点が無くてもグルージャDF裏を狙い続け、主に左サイド(グルージャの右サイド)を抉り続けた働きは、試合全体に大きな影響を与えていたと思います。試合後のインタビューでは少し感極まっていたようにも見えました。
カマタマーレのGK清水選手、CB竹内選手、西野選手の守備は堅かったですね。さすがJ2昇格が現実的な目標のチームだと感じました。
グルージャの選手で良かったのは麦倉選手。質の高いプレースキック、クロスで相手ゴールを度々脅かしました。また21分のグルージャのピンチにおける最終ラインに戻ってのクリアは、守備を疎かにする選手ではないことを証明しました。今季の麦倉選手は、多くのグルージャのゴールに絡んでいくことでしょう。
総評
生まれたゴールは1点のみでしたが、J3らしい泥臭さがありつつ締まった良いゲームだったと思います。
カマタマーレはかなりグルージャを研究してきたな、という印象。
恐らくカマターレのスタンダードはもっと細かくボールを繋いでいくスタイルだと思うのですが、この日は開幕戦、雨天試合、カウンターを得意とするグルージャが相手、といった条件を総合的に考慮して、比較的ロングボールを多めに直接相手DF裏を狙っていくサッカーになっていました。
「相手は、ボールホルダーの状態にかかわらず、3バックの選手の人に対する意識が強いので、後ろのスペースというのは基本的には空いていたので、'そこを取りに行くよ。'という話はしていました。」
という試合後の上村監督のコメントからも、最終ラインの両脇(特に左サイド=グルージャの右サイド)にボールを入れ、CBを釣り出して空いたスペースを利用したい狙いが見て取れました。
しかしグルージャも素早い切り替えで決定的なチャンスは阻止してきただけに、こちらから言わせれば『交通事故のような』スペシャルなロングシュートが相手の決勝点となってしまったことは非常に残念。
この試合を見て感じたグルージャにとってのポジティブな面は、
- 今季加入選手8名を入れた先発でも、それなりの組織的守備は出来ていた。
- 3バックの強度は上がっており、セットプレーやクロスからの失点は昨季より減らすことは期待出来そう。
- 麦倉選手の左足は今季の攻撃力の柱の一つとして計算出来る。
ネガティブな面としては、
- CFに宮市選手がいないと困った時にボールを収められる確度が低くなる。
- 高いライン設定にも関わらず3バックにスピードがある選手がおらず、今まで通りGKにはペナ外に出る守備が必要となり常にこの日のような失点が懸念される。
といったところでしょうか。
まだ34試合のうちの1試合を消化しただけです。負けはしましたが恥じる内容ではありませんでした。新たな一歩を踏み出した『いわてグルージャ盛岡』の今後に期待しています。
(思い出したので追記。この日の個人的クライマックスについて。
試合終盤、今季からカマタマーレに帰ってきたレジェンド的存在である木島良選手が、途中交代で入ってきた際の話。私の席の近くを定期的に巡回していた警備員の方が「おっ!」と言って木島良選手に目をやり、本当に嬉しそうにニッコリと微笑んだシーンが私の心に残りました。カマタマーレ讃岐が、木島良選手が、地元の人たちに愛されていることがよく分かりました。J2でもJ3でも変わらず応援する。健全なサッカー文化に触れた気がしました。)