いわてグルージャ盛岡 2019シーズン総括
御無沙汰です。
グルージャに関するここ数週間の動きは激しすぎてなかなか頭がついていきませんが、2020シーズンもグルージャ戦記はいわてグルージャ盛岡を応援していきます。
で、今更ですが2019シーズンを振り返ります。 あまり思い出したくない記憶が多いですが、過去の反省無くして未来の躍進無し。全く別の姿になった2020シーズンのグルージャと向き合うためにも、ここで一度2019シーズンを総括しておきたいと思います。
順位・チームスタッツ
2019シーズンのトップチーム目標は、
- リーグ戦勝ち点50、一桁順位
- 天皇杯3回戦進出
でした。その結果は
天皇杯に関しては格上の相手に対して仕方のない結果とは言えるものの、リーグ戦における1試合平均勝ち点0.76は過去6シーズンで最低の数値。どう控えめに言っても大失敗、大惨敗のシーズンだったと言えるでしょう。
更にスタッツを見ていきます。
2019シーズンは2018シーズンに引き続き菊池利三監督が率い、基本戦術も前季の『堅守速攻』コンセプトを踏襲したものだったので、スタッツにはそれほど前季からの変化は見られません。
被シュート数の多さ(=17.1で17位)はもちろん敵陣でのプレー数の少なさ(30mライン侵入回数(=30.3回で18位)、PA侵入回数(=9.7回で16位))が目につき、2019シーズンのフラストレーションが蘇ってきます。
シーズン序盤では麦倉選手のキックによるセットプレーからの得点が話題になりましたが、シーズン半ば以降はセットプレーからの得点数は伸びませんでした。
逆にセットプレーからの失点数の多さは相変わらず。クロスから、スルーパスから、こぼれ球からの失点の多さは、カバーリング判断の遅さやスピード・アジリティに欠けていた最終ラインの印象とも合致します。
時系列での戦績
時系列で見るとGW頃(第8節)までは平均失点数は1.0に抑えられ、勝ち点もまずまず順調に積み上がっていたのですが、6月以降は大量失点の試合が出始め順位は下降する一方となりました。
次に先発フォーメーションの変遷を見ていきます。
フォーメーション
第1節(3/9)~第16節(7/13)
第17節(7/20)~第20節(8/11)
第13節(8/20)~第24節(9/29)
第25節(10/5)~第29節(11/3)
第30節(11/9)~第32節(11/24)
第33節(12/1)
第34節(12/8)
菊池利三監督は相手チームによってフォーメーションを変化させるタイプでは無く、試合開始時フォーメーションはなるべく継続して使用するタイプの監督であったことが分ります。
第16節までは2018シーズンからの『3-4-2-1』を続けていましたが、勝ち点に伸び悩むと第17節から『3-5-2』を採用。
その『3-5-2』でも3連敗を喫し『4-4-2』の4バックへ変更。順延となっていた8月18日の福島戦では5バックへの可変式戦術を採用し久しぶりの勝利を収めたものの、また3連敗を喫した時点で当初の『3-4-2-1』に戻しました。しかし第29節まで連敗は続き、遂にJ3記録タイの8連敗を喫しました。
石井選手をアンカーに据え今季初の『4-1-4-1』を採用した第30節G大阪U-23戦で、何とか連敗は止めましたが勝利には届かず。
ラスト2戦は集大成とするかのように今季の代表的フォーメーション『4-4-2』、『3-4-2-1』を採用するも勝利には結びつかず、8月の福島戦以降の勝利は来季に持越しとなりました(連続14試合勝利なし)。
左サイドの守備ケアにエネルギーを割かれていたこと、最終ラインが左右に振られてマークを外したり簡単に裏抜けを許していたことを鑑みると、スピードに長けたCB、守備に強い左WB(SB)が存在しなかったことは、どんなフォーメーション・戦術を採用しても覆い隠すことが出来ない2019シーズングルージャの致命的な綻びであった、と個人的には考えています。
個人成績
- 最多得点 :谷口海斗選手:9ゴール
- 最多アシスト:麦倉捺木選手:8アシスト
- 最多出場時間:福田友也選手:3,208時間(34試合)
2019シーズンを最後にグルージャを去った福田選手に関しては、こんなチーム成績でも最後までよく切れずにキャプテン及びDFリーダーを務めたと思います。失点数の多さから福田選手を『戦犯』扱いする見方も出来るのでしょうが、グルージャ戦記としては感謝状を差し上げたい位です。
纏め
2018シーズンの失点数の多さを反省し、2019シーズンはDF陣を入れ替えた上で個人戦術の向上により失点数を減らす目論見でしたが、結果は過去最多の失点数。1試合平均で1.85点も失点していれば試合になりません。得点も多くはありませんが失点数の多さが最大の問題でした。
6月以降の戦績の凋落は一言で表すと「シーズンが進むにつれ相手チームに研究され対策を講じられたが、それに対抗する更なる対策を実践出来なかった」ということになると考えています。
菊池利三監督の戦術的な責任もあるでしょうが
- WBバックの裏のスペースにボールを出す
- (相手から見た)アタッキングエリアでボールを左右に大きく振る
- CBを前に釣り出してスペースを作る
といった相手戦術の完成度が日を追うごとに高まっていくのに対し、それに付いていけるだけの『選手の質』が無かった、ということに尽きるかな…と。
小谷選手や白石選手等2018シーズンに活躍した主力選手をライバルクラブに抜かれた上、効果的な補強が出来なかったことで当然の結末になった、という納得感が私の中にはあります。
繰り返しになりますがCB、WB(SB)の人材不足はシーズン開幕時から明らかだったにも関わらず、シーズン中の『実質的』補強は8月の大垣選手の加入のみ(ガオ選手とファン選手は敢えて実質的補強とは見なさず)だったことを考えると、強化部の責任は菊池監督以上に免れないものでしょう。
…とは言え…NOVAへ経営移管する前の台所事情ではそうそう思い切った補強が出来る訳もなく、当時の強化部長を「戦犯」扱いするのも少し違う気がします。2015シーズン以降、少ない予算で切り盛りしながらトップチームを創ってきた前強化部長には感謝しなければならないとも思います。
個人の責任を追及しても仕方のないこととは思いつつも、フロント陣にはしっかりとした形で2019シーズンの総括をして欲しい、という複雑な気持ちを抱いております。
NOVAへの経営移管によりグルージャを取り巻く状況は一変してしまいましたが、どのような経営状況にしろ、継続的な積み上げを行っていくことでしかトップチームが強くなる道は無いでしょう。強化部長と監督を交代させて前シーズンを無かったことにするのではなく前シーズンをよく反省し、変えるべきこと・継続するべきことの見極めをした上で「次」に向かわなくてはなりません。
『昇格』云々は一旦置いて、改めてクラブのアイデンティティをよく考えた上で、グルージャには新たな一歩を踏み出して欲しいと思います。
今までのグルージャとは全く姿形が異なる2020シーズンのグルージャは、既に動き出しています。2019シーズンの失敗を糧にどのようなサッカーを見せてくれるのか。期待しつつ、引き続きグルージャを応援していこうと思います。
2019シーズンは辛い局面の多いシーズンでしたが、それでも十分に楽しませて頂きました。
最後に2019シーズンを闘ってくれたグルージャの選手、監督、コーチ、他スタッフの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。