グルージャ戦記

Jリーグのフットボールクラブである、いわてグルージャ盛岡について妄想を垂れ流すブログ(非公式)

マッチレビュー J3リーグ第32節 グルージャ盛岡 vs セレッソ大阪U-23

 11月18日に行われたホーム最終戦セレッソ大阪U-23戦はスコア2-1でグルージャが逆転勝利し、勝ち点を37に伸ばし今季目標の勝ち点「40」に向け最終節のAC長野パルセイロ戦に望みを繋げるとともに、田中舜選手の現役引退にも花を添える結果となりました。

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公式結果

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フォーメーション

 グルージャは前節からシャドーの陳選手に代えて梅内選手を先発に据えました。他は前節と同じ先発メンバー。宮市選手と谷口海選手はベンチスタート。

 尚、先日引退を表明した左CB田中舜選手はいわスタでのラストマッチ。

 

 セレッソは前節から先発5人入れ替え。今節出場停止のCB森下選手に代えて石尾選手、GK永石選手に代えて茂木選手、右SB沖野選手に代えて大山選手、CHチャウワット選手に代えて西本選手、CF中島選手に代えて山田寛選手の4-4-2。

 

試合内容

 試合開始。1分、左サイドからの嫁阪選手のCKにファーで田中舜選手が頭を合わせましたが、GK茂木選手がキャッチ。

 3分、左サイドからの舩木選手のCKにファーで石尾選手が頭を出しましたがミートせず、こぼれを小谷選手がクリア。

 5分、グルージャ陣内中央での白石選手から山田陸選手へのパスが斧澤選手に奪われ、山田寛選手から左ハーフスペースの山根選手に渡り山根選手がシュート。GK土井選手が両手でブロックし、こぼれをペナ内右で斧澤選手がシュートしますが山田陸選手がブロック。

 5分、右サイドからの舩木選手のCKは土井選手がパンチでクリア。

 6分、グルージャ陣内左サイドからのスローインを直接山根選手がシュートするも、ボールはゴール右に逸れました。

 7分、斧澤選手から右サイドの大山選手にパス。大山選手がクロスを上げますが土井選手がキャッチ。

 15分、左サイドの舩木選手からのロングボールを米澤選手がペナ内で超絶トラップからシュート。しかし田中舜選手がブロックし、江頭選手がクリア。

 19分、左サイドからの白石選手のCKはGK茂木選手がパンチでクリア。

 21分、センターサークル付近で梅内選手がボールを奪い小谷選手が嫁阪選手へパス。嫁阪選手が中央をドリブルで運び左ハーフスペースの藤沼選手へパス。藤沼選手が瀬古選手のスライディングを躱してからシュートしましたが、茂木選手が枠内左隅のボールを倒れ込んでキャッチ。茂木選手のナイスセーブ。天を仰ぐ藤沼選手。

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 22分、喜田選手から右サイドの大山選手へパス。大山選手のクロスにファーで山田寛選手が頭を合わせましたが、枠を捉えず。

 28分、左サイドから江頭選手が早いリスタートで裏を狙うFK。ペナ内左で追い付いた藤沼選手でしたがシュートは打てず、折り返しも嫁阪選手には合わず、喜田選手がクリア。

 33分、右ハーフスペースからの大山選手のクロスを畑本選手が頭で跳ね返したボールを米澤選手がシュート。しかしボールは枠を大きく外れました。

 33分、田中舜選手からのバックパスを土井選手が梅内選手へキックしましたが、西本選手がカット。喜田選手から米澤選手へ縦パス。右サイドから入って来た山田寛選手にダイレクトに預け、山田寛選手がドリブル突破。山田選手がそのままシュートし、ボールは枠内左に決まってゴール。失点の遠因は土井選手のキックミス。直接の原因は右サイド(グルージャの左サイド)から山田寛選手が斜めに入ってくる動きを、福田選手。田中舜選手が読めていなかったこと。セレッソ先制。0-1。

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  35分、畑本選手からの縦パスを収めた嫁阪選手が右ハーフスペースでドリブルからシュート。しかしボールはゴール右に逸れました。

 39分、右サイドの畑本選手からパスを受けた右ハーフスペースの梅内選手がドリブルからクロス。ゴール前中央で藤沼選手がヘディングシュートするもGK茂木選手が正面でキャッチ。

 45+1分、左サイドの舩木選手からDF裏へのロングボール。山根選手が収めますが白石選手がクリア。

 45+2分、左サイドからの舩木選手のCKに中央の瀬古選手が頭を合わせますがミートせず。こぼれを畑本選手がクリア。

 前半終了。0-1。全体的にセレッソペースですがグルージャも失点シーン以外は粘り強く守れている。21分のチャンスは藤沼選手に決めてもらいたかった。

 

 後半開始。51分、山田寛選手が中央をドリブルで運び、左ハーフスペースの西本選手へパス。西本選手がクロスを入れますが米澤選手が触る前に田中舜選手がクリア。

 52分、右サイドで山田寛選手からDF裏へのスルーパス。走り込んだ米澤選手が収めクロス。しかし畑本選手が足でブロック。

 57分、右サイドの嫁阪選手から中央の小谷選手へパス。小谷選手がドリブルからミドルシュート。しかしGK茂木選手が正面で一旦上に弾いてからキャッチ。

 58分、グルージャの選手交代。梅内選手に代えて宮市選手、山田陸選手に代えて谷口選手投入の2枚代え。宮市選手がCFに入り、谷口選手がシャドーに、シャドーだった嫁阪選手がCHとなるポジション変更。ちなみに50分台での2枚代えは、今季のグルージャでは初めてのこと。

 60分、左ハーフスペースで小谷選手から藤沼選手への縦パス。藤沼選手が小谷選手に戻してクロス。ニアで谷口選手が頭を合わせましたが、惜しくもボールは右サイドネット外側。

 62分、右サイド大外から抜けてきた大山選手に足を掛けて倒した田中舜選手にイエローカード。このカードにより田中舜選手は、引退試合となるはずだった次々節長野パルセイロ戦を累積警告のため出場停止に(次節はグルージャ休み節)…。

 63分、グルージャ陣内右サイドからの舩木選手のFKはニアで畑本選手がクリア。

 64分、右サイドからの舩木選手のCKは土井選手がキャッチ。

 68分、中央の米澤選手から右サイドDF裏へのスルーパス。斧澤選手が追い付きドリブルでペナ内右まで入ったところで江頭選手が足をだしクリア。

 69分、セレッソの選手交代。山田寛選手に代えて中島元選手。中島選手がそのままCFへ。

 71分、中央の嫁阪選手から右サイド裏へのロングパス。藤沼選手が収めて中央までドリブルしてゴール前中央の宮市選手へパス。宮市選手が右サイドの畑本選手にパスして畑本選手がクロスを上げると、ファーで谷口選手が頭で折り返して中央で白石選手がヘディングシュート。しかしボールは僅かにクロスバーの上へ逸れました。地面を叩いて悔しがる白石選手。

 72分、右サイドの嫁阪選手からのクロスにファーで谷口選手が飛び込みましたが惜しくも触れず。

 77分、セレッソの選手交代。斧澤選手に代えて沖野選手投入。沖野選手がそのまま右SHへ。

 77分、福田選手のヘディングでのクリアを宮市選手が頭でDF裏へ落とし、藤沼選手がワンタッチでペナ内中央に落とすと走り込んだ谷口選手が右足でのループシュート。ボールはGK茂木選手の上を越えゴールに入りました。谷口選手のシュートも素晴らしかったのですが、相手DFとGKが判断に迷う絶妙なポイントにボールを落とした宮市選手と藤沼選手も素晴らしかった。前線3人の息がぴったりと合った胸のすくゴールでグルージャが同点に追いつきました。1-1。

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 79分、グルージャの選手交代。田中舜選手に代えて鈴木達選手投入。鈴木選手が右SBとなり、左SBに白石選手、アンカーに江頭選手、OHに小谷選手と嫁阪選手の4-1-2-3にフォーメーション変更。このフォーメーションは今季初か?尚、田中舜選手はこれで現役選手としての公式戦が全て終了しました。

 79分、右サイドの大山選手からのクロスは畑本選手がヘディングクリア。

 80分、米澤選手の中央からのミドルシュートは畑本選手がブロック。

 80分、嫁阪選手からの裏へのロングボール。石尾選手がヘディングで跳ね返したボールを収めた宮市選手がフリーの谷口選手へパス。ゴール前中央でGKと1対1の状況でしたが、谷口選手のシュートは僅かにクロスバーの上を超えました。

 81分、畑本選手からのロングボールを右サイドで石尾選手と競り合いながら収めた藤沼選手がそのまま中央へドリブル。ペナ内右からのクロスに、中央で飛び込んでいった谷口選手が右足をあわせ、値千金の逆転ゴール。このゴールも、谷口選手だけでなく相手と競り合いながらロングボールを収めきった藤沼選手の功績が光ります。2-1。

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 83分、セレッソの選手交代。米澤選手に代えてピアス選手投入。ピアス選手がそのままCFへ。

 90+3分、右サイドの沖野選手のクロスは土井選手がキャッチ。

 試合終了。2-1でグルージャの劇的な逆転勝利。

 

選手の評価

 MOMはもちろん2ゴールの谷口海斗選手。この試合の2ゴールで自身のゴール数を「14」まで伸ばし、クラブの個人記録を更新しました(これまでの最高記録は2014シーズンにおける土井良太選手(現アルテリーヴォ和歌山)の12ゴール)。谷口選手の大活躍はサポーターにとっては嬉しいものの、移籍の可能性が大きくなったことは寂しくもあり…。

 

 体を張った2アシストで勝利に大いに貢献した藤沼選手、谷口選手と同時に途中出場し試合の流れを変えた宮市選手準MOM級として称えたいと思います。

 

 そして現役引退をした田中舜選手。左CBとして先発出場しましたが、この試合で貰ったイエローカードにより最終節に出場不可能となり、この試合が現役最後の試合となってしまいました。

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 田中舜選手はこれまでの試合のように、幾つかの危ないパスミスを犯しながらも、体を張ってセレッソU-23のチャンスを潰し、チームに貢献していました。

 足元の上手いテクニシャンが多くなった現在のグルージャにおいて、舜選手の無骨で泥臭いプレーは異質なものに見えましたが、彼の存在はかつてのグルージャ…松田賢太選手や岡田祐政選手、高瀬証選手が主力だった頃のグルージャを思い起こさせ、懐かしい香りを届けてくれるものでした。

 田中舜選手、お疲れ様でした。ありがとうございました。

 

総評

 非常に内容の濃い、面白い試合でした。

 ホーム最終戦、田中舜選手のホーム最後の試合(結果的に引退試合)、今季目標の勝ち点「40」のために勝たなければいけない試合、谷口海斗選手のクラブ最多得点記録がかかった試合…などの盛り上げ要素があったにせよ、ホーム戦で内容と結果がここまで充実するのはグルージャでは珍しいことであり、この試合までのグルージャ現地観戦9戦で1勝8敗だった私にとっては、最後に救われた気持ちになりました。

 

 これまで見られなかった積極的な選手交代(50分台での2枚同時替えは今季初)と、試合途中でのフォーメーション変更を行った菊池監督の采配は非常に興味深いものでした。

 鈴木達也選手を投入してからのフォーメーション4-1-2-3?は今後の可能性を感じさせるものでもっと見てみたかったのですが、今季はあと1試合しか無いのが非常に残念。江頭選手をアンカー、小谷選手と嫁阪選手をオフェンシブハーフにした4バックの形は今季初めてでしたが、この中盤の変更により思いのほかセレッソを自陣内に押し込めることに成功。選手たちに迷いは見られなかったので、練習では結構試しているのでしょう。

 以前からこういう「策」でグルージャが勝ち点を引き寄せる姿を見たかったのですよ。残り2試合となってようやく選手の熟練度が監督の要求に達したということ…なのでしょうか。来季も菊池監督が継続するのなら、この試合のような戦術的な駆け引きはシーズン最初から見てみたいものです。

 

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 田中舜選手が試合後のスピーチで言っていた通り「現在のグルージャはJ3昇格時の熱が冷めてしまった。上を目指すには熱量が足りない。」というのは全くその通り。

 しかし私はこの日のいわスタの光景には、今後の可能性を感じることが出来ました。ホーム最終戦の特別なシチューエーションも影響はしたと思いますが、この日のいわスタには「強かろうが弱かろうが地元のチームを応援することを楽しむ」ポジティブな空気、敢えて言うなら「祝祭感」に溢れていました。

 この日のような光景を続けることがまずは第一歩。余所のクラブがJ2へ昇格しようが、ライバルクラブに追い抜かれようが関係なし。グルージャグルージャの道を着実に歩み続けることが大切です。

 今季も残り1試合。最後までポジティブにグルージャを追いかけていきましょう。